アイドル、ギャグをやめてくれ

 

 

ここ最近ずっと考えていたことがなんとなくまとまったのでしたためてみようと思います。

 

私はどの界隈に居ても面白い人が好きです。さらに「面白い」を細分化すると、

「面白いことが言える人」が好きです。

なので、芸人を特段追ったことはないけれど、芸人という「自分の話術だけで何億も稼ぐ人種」に非常にタレント性を感じます。

 

私はアイドル、もといジャニーズを好きになって1年半くらい経ちました。

今まで追っていた界隈とは違く、歌うだけではなく踊ったり、しゃべったり、顔が綺麗だったりと、それもそれで「身一つで経済を動かす凄さ」を感じてリスペクトを感じます。

 

ただ、最近はいろんなアイドルが出てきた背景もあり、歌う、踊る、だけでは差別化が厳しい時代になっているのだろうと感じることが増えました。

大人気グループの人気メンバーが頓珍漢(リスペクトも込め)な発言をしてお茶の間を沸かせたり、「高学歴」と銘打って大学での勉強から飛び出したような複雑な問題まで挑戦できるアイドルがいたり、と様々なアイドルがテレビに出ているのをよく見ます。

 

「ダンスが上手い」「歌が歌える」という状態は裸なのだろうと思いました。そこに「息をのむほどの美貌」や、「驚異の足長」、「高学歴」、「頓珍漢」という武器を持つことでやっと「お茶の間」という全肯定してくれる人間以外も目にする現場に立つことができるのだろうと思います。

 

テレビ側もその需要に気づいているようなので積極的に番組に組み込んでくれるんだな~と思って見ていました。

 

その「武器」は本当にたくさんあります。

俳句、楽器、料理、専門知識など、「所詮ジャニーズ」という茶の間のレッテルをはねのけられるように頑丈な武器を手に入れるべく、皆すごく努力をしているのだろうと思いました。

 

その中でずっと思っていたこと。

格好つけることを忘れないでほしい

 

です。

 

最近ではお笑い芸人の大会に乗り出すアイドルもいて、本職の人に負けないように努力をしていたところ、まさに本職の方に「アイドルがそれをしたらいけない」と言われているのを目にしました。

これが私の最近の違和感でした。

 

どんな武器を手に入れていっても、格好つけることを忘れないでほしい。

アイドルの裸の状態は「歌を歌える」「ダンスを踊れる」と書きましたが、さらに前提に「格好つける」ことがあると思います。

 

確かに裸の時に、何か武器を持たないと、と思いギャグや一発芸という武器を手に入れようと思う気持ちはわかりますが、それを続けることで「格好つける」ことができなくなり、ファンとの需要と供給に乖離が生じるな~と思います。

どの業界でも長く其処に居ると需要がわからなくなり(勝手に需要を都合よく解釈し)、実際には全く求められていないものを提示し続け、顧客が離れる例があると思います。

そもそも、「ギャグ」や「一発ギャグ」のようなスベるリスクを含むことに挑戦して、案の定スベる好きな人ほど見ててつらいものはないし、その共感性羞恥に耐えられず、もともと「需要」を生んでいたファンが離れることもあるよな~と思う。

 

実際に私も元々推していた人が、あるころからふざけるようになり、音楽番組でもふざけ始め、格好つけなくなったので徐々に冷めていったことがあります。

少なくともアイドルを推している人間は、その対象が「格好いい」姿を見せてくれたことで推し始めるのだろうと思います。

だからこそ、入り口と中身が違うのは悪いことではないにしても、出口を探す要因になりかねないと思いました。

 

 

最近ずっと、自ジャンルのファンが「推しのギャグ化」に苦しめられているのを見ていました。そんなとき、過去のおぎやはぎのメガネびいきを聴いていて興味深い内容を話していました。

 

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めがね

その頃の話題は木村拓哉さん主演の「グランメゾン東京」が放送されていて、それについての話題でした。

小木さんが「キムタクは今のアイドルがやらない『こちらが恥ずかしくなるくらいの格好つけ』をしてくれて嬉しい」と話していました。アイドルは本来そういう姿を見せ続けるはずなのに、今は何となくそれが恥ずかしいみたいな空気がある。アイドルは一回格好つけることを恥ずかしがったり、ネタに走ると「格好いい」に戻れない、と。

矢作さんが「今でもそれをやってくれているのはSexyZoneの中島健人くらい」と言っていて私の中のモヤモヤしていた部分が明るみに出てきました。

 

ケンティーを見ていて、ずっとこちらが恥ずかしくなるような甘いセリフを投げかけてくる(しかもちゃんと嘘みたいにときめける)のに、おなかを抱えて笑ってしまうようなことも行ってきます。茶の間が笑っているときもずっと「格好つけている」のです。この法則に気づいたとき、ケンティには誰も勝てないとなりました。

 

 

と、同時にアイドルってそういうものだよな、と思いました。

2020→2021のカウコンのオリジナルスマイルのケンティーも、バラエティで笑いを生んでいるケンティーもずっと格好つけているし格好いいのです。

根っこがずっとアイドルなのに、笑いや王子様、さらには文化の方面にも強い武器を持っているのを見て、グッと来てしまいました。ここまで褒めても私は中島担ではない。

茶の間が「なんか好き」と思えるアイドルってそういうものなんだろうなと思いました。

 

Kis-My-Ft2のみやっちだって、あんなにオタクなのを前面に出してても、いくら一発ギャグをやっても、根っこに「ファンはお姫様だし、俺は王子様」という芯があって、「アイドルが楽しい!」と公言しているからよいギャップがあって王子様でいるんだろうなと思います。すごいよとしくん。

 

 

アイドルは格好つけることから逃げたり、笑いに逃げると格好いいに戻れなくなる。

この言葉によって笑いに逃げる怖さが生まれますが、「格好いい!」と思って応援し始めたアイドルが「格好いい」に戻れなくなったり、ファンが求めていない二面性として「笑いのようなもの」を提示してくるのはさらに苦しかったり怖いことになるだろうなと思います。

 

面白いものやギャグは芸人さんに求めます。これが正しい需要と供給です。

アイドル側が求める「武器」にギャグが必要だとしても、それをその人に本気で求めているのではなく、入り口であったはずの「格好いい」は大切にしてほしいな、という話でした。

 

アイドルは皆、誰かの王子様である仕事なのです。よろしく。

 

 

2021.2.8